こんにちは。茨城県潮来市のペットサロン「あしあと」です。
動物病院で犬の看護に関わる業務を経験し、トリマーとしても犬たちと接してきました。現在はペットサロンのオーナーとして、15年間、多くの犬と飼い主さんを見てきました。
年齢や持病だけを理由に一律に断るのではなく、その日の体調と安全を見ながら、その子にできる方法を一緒に考えることを大切にしています。
年齢を重ねた愛犬の毛が薄くなると、「シニアだからかな」「前回のトリミングから伸びるのが遅いだけかも」と考えることがあります。一方で、脱毛が少しずつ広がると、「何か病気を見逃しているのでは」と心配になりますよね。
脱毛のすべてがニキビダニ症というわけではありません。写真や症状だけで病名を決めることもできません。だからこそ、病名を当てようとするより、診察に役立つ変化を落ち着いて集めることが大切です。
一つだった脱毛が増える、離れた場所にも現れる、赤みやかさぶたを伴うときは、長く様子を見ずに動物病院へ相談しましょう。シニア犬では、皮膚だけでなく、持病、体調、服用中の薬も診断の手がかりになります。
この記事では、ニキビダニ症を怖がりすぎず、見逃さないために、受診までに確認したいことを順番に整理します。全部を完璧に覚える必要はありません。まずは、次の順で進めてください。
まずやる事
- 脱毛の場所と広がりを写真に残す
- 食欲・体重・元気と、持病・使用中の薬をメモする
- 膿、強いにおい、痛み、急な悪化、元気や食欲の低下があれば当日中に動物病院へ連絡する
- 強い変化がなくても脱毛が増えるなら、数日以内を目安に受診を相談する
- 家庭で薬や室内ダニ用品を試す前に、皮膚検査で原因を確認してもらう
この記事は、獣医師の診断や治療、緊急度の判定に代わるものではありません。愛犬の様子に迷うときは、かかりつけの動物病院へ相談してください。
シニア犬の脱毛が広がるときは「皮膚・体調・薬」を記録して相談する

シニア犬の脱毛に気づいたら、診察で使える事実を「皮膚・体調・薬」の三つに分けて残します。
ニキビダニ症では脱毛や赤みが見られますが、細菌性毛包炎、皮膚糸状菌症、アレルギー、内分泌疾患、腫瘍、摩擦、毛刈り後の変化などでも似た外見になることがあります。
まず行う三つのこと
| 順番 | 今日すること | 記録する内容 |
|---|---|---|
| 1 | 皮膚を撮る | 部位、範囲、赤み、フケ、湿り、膿、におい、痛がる様子 |
| 2 | 全身を見る | 食欲、体重、元気、飲水、排尿、歩き方の変化 |
| 3 | 治療歴を集める | 持病、最近の体調不良、薬名、量、回数、変更日 |
写真は、体のどこか分かる全体写真と、皮膚の状態が分かる近接写真を一枚ずつ残します。近くにコインや紙の目盛りを置くと、範囲の変化を比べやすくなります。
長毛の犬は、被毛をそっと分けた状態も撮ってください。痛がる、湿っている、出血している場合は、無理に触らず撮影を中止します。
脱毛だけで元気なら慌てすぎなくてよいが、放置もしない
小さな脱毛が一つあり、元気と食欲が普段どおりなら、直ちに救急疾患とは限りません。
ただし、新しい脱毛を数週間、数か月そのままにすることは勧められません。数日以内を目安に動物病院へ連絡し、受診時期を確認してください。
「脱毛だけで電話してよいのかな」と迷うかもしれません。電話では、年齢、脱毛が始まった日、増えているか、赤みや膿の有無、元気と食欲を伝えれば、病院側も受診時期を案内しやすくなります。
ニキビダニ症とは?室内ダニとは別の皮膚病

正式には毛包虫症と呼ばれる
犬のニキビダニ症は、毛包虫症、デモデックス症、アカラス症とも呼ばれます。公益社団法人日本獣医学会の疾患名用語集では、英語の「demodicosis」に対する日本語名を「毛包虫症」、類語を「ニキビダニ症」としています。
一般的な犬のニキビダニは、毛包や皮脂腺に少数存在し、多くの犬では症状を起こしません。何らかの条件でダニが増え、毛包周辺に変化が起こると、脱毛や皮膚炎として現れます。ニキビダニは肉眼で探す虫ではなく、診断には顕微鏡による確認が必要です。
参考:日本獣医学会疾患名用語集、WAVD臨床コンセンサスガイドライン
寝具のダニ対策では治療できない
ニキビダニと、布団、カーペット、ソファ、犬用ベッドなどに生息する室内ダニは別のものです。
| 比較項目 | 犬のニキビダニ | 室内のヒョウヒダニ類など |
|---|---|---|
| 主な場所 | 犬の毛包・皮脂腺 | 寝具、布製品、ほこりのある場所 |
| 家庭で肉眼確認 | できない | 通常は肉眼で種類を判別できない |
| 犬に症状があるとき | 動物病院で皮膚検査 | 犬の診察とは分けて室内環境を管理 |
| 室内ダニ捕獲用品 | 診断・治療には使わない | 製品が対象とする室内ダニの管理補助 |
室内ダニ用の捕獲シートを犬のベッドへ置いても、毛包の中で増えたニキビダニを診断したり治療したりはできません。犬の体へ貼る、被毛へ挟む、薬剤を直接かけることもしないでください。
ダニの違いを先に整理したい方は、犬に寄生するダニと家のダニの違いを確認するをご覧ください。
家族や同居犬へうつる病気なのか
一般的な犬のニキビダニ症は、人へうつる病気ではなく、健康な成犬同士へ容易に広がる病気とも考えられていません。犬のニキビダニは、通常、生後間もない時期に母犬との接触で子犬へ移るとされています。
参考:MSD Veterinary Manual(2025年5月更新)、CAPC Demodex spp.
診断前から家中を強い薬剤で消毒したり、寝具を捨てたりする必要はありません。ただし、接触への配慮が必要な別の皮膚病もあります。同居動物にも脱毛やかゆみがあれば病院へ伝え、原因が分かるまではブラシやタオルの共用を控えましょう。
ニキビダニ症で見られる変化|かゆみの有無だけでは分からない

初期に見られることがある変化
ニキビダニ症では、次のような変化が見られることがあります。
- 円形または形の整わない脱毛
- 毛量が部分的に減る
- 赤み、フケ、細かなかさぶた
- 毛穴が目立つ、毛の根元にフケが筒状に付く
- 皮膚の色が濃くなる
- 背中の被毛や皮膚が脂っぽくなる
- 足先や指の間が赤く腫れる
顔や前肢から見つかることがありますが、広範囲のニキビダニ症では体のどこにでも現れる可能性があります。足先のニキビダニ症では、腫れ、色素沈着、痛みが目立つ場合があります。
参考:WAVD臨床コンセンサスガイドライン
これらはニキビダニ症だけの症状ではありません。また、軽い段階ではかゆみが目立たないこともあるため、脱毛の形やかゆみの有無だけでは判断できません。
痛み・膿・においは二次感染も確認する
ニキビダニ症が進み、細菌による二次感染を伴うと、強い炎症が起こることがあります。
- 膿が見える、皮膚から液がにじむ
- いつもと違う強いにおいがする
- 触れようとすると避ける、鳴く、怒る
- 足先が腫れて着地を嫌がる
- 傷が急に増える、強くかく、なめ続ける
- 元気や食欲が落ちる
重い二次感染では、発熱、元気消失、リンパ節の腫れなど全身の変化を伴うことがあります。痛み、膿、におい、急速な悪化を見つけたら、次の予約日まで待たずに動物病院へ連絡してください。
参考:MSD Veterinary Manual、WAVD臨床コンセンサスガイドライン
局所的な脱毛と広範囲の変化|個数だけで自己判断しない

ニキビダニ症は、限られた場所に現れる「局所性」と、多数または広い範囲に現れる「全身性・汎発性」に分けて説明されます。
しかし、局所性と広範囲の境界は、脱毛の個数だけで一律に決められるものではありません。WAVDのガイドラインでも、局所性の定義には幅があり、病変の面積、つながり方、炎症の強さなどによって判断が難しい例があると説明されています。
| 家庭で見える状態 | 記録したいこと | 受診時に伝える言い方 |
|---|---|---|
| 小さな脱毛が一か所 | 直径、発見日、赤み、フケ、増えているか | 「○日前に一か所見つけ、今は○cmほどです」 |
| 離れた場所にも増えた | 新しい部位、増えた順番、左右差 | 「最初は顔、その後前脚にも出ました」 |
| 脱毛同士がつながった | 全体の範囲、広がる速さ | 「一週間で二つの範囲がつながりました」 |
| 足先・指の間にある | 腫れ、痛み、なめる、歩き方 | 「右前足をなめ、着地をためらいます」 |
| 膿・湿り・強いにおいがある | 発見時刻、量、痛み、体調 | 「今朝から湿ってにおい、食欲も落ちました」 |
若い犬の軽い局所性ニキビダニ症には自然に落ち着く例もありますが、その説明をシニア犬へそのまま当てはめることはできません。範囲が小さくても新しい変化として記録し、獣医師へ相談してください。
シニア犬では持病・免疫状態・服用薬も一緒に確認する

皮膚以外の情報が必要な理由
成犬やシニア犬で新たに広範囲のニキビダニ症が現れた場合、獣医師は、ニキビダニを減らす治療だけでなく、増えやすくなった背景も確認します。
専門資料では、副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症などの基礎疾患、免疫を抑える治療との関連が報告されています。一方、病気ごとに関連の強さは同じではありません。
成犬発症例を調べた2019年の比較研究では、上記二つとの統計的な関連が確認されましたが、腫瘍性疾患は対照集団より有意に多くありませんでした。糖尿病や腫瘍などを併せ持つ例が専門資料に示されていても、ニキビダニ症から特定の病気を推測することはできません。
参考:WAVD臨床コンセンサスガイドライン、MSD Veterinary Manual、Pinsenschaumらの比較研究(2019年)
飼い主さんにお願いしたいのは、病名を探すことではなく、食欲、体重、飲水、排尿、元気など「普段との違い」を伝えることです。確認項目は、後半の「三枚のメモ」にまとめています。
薬は、飲み薬だけでなく、注射、塗り薬、目薬、点耳薬、薬用シャンプー、サプリメント、市販薬も含めて伝えます。
ステロイドなど免疫に影響する薬が関連する場合はありますが、自己判断で急に中止すると、もとの病気が悪化するおそれがあります。薬を止める、減らす、変更する判断は、必ず処方した獣医師へ相談してください。
基礎疾患が必ず見つかるわけではない
「基礎疾患も確認する」と聞くと、重い病気が隠れているのではないかと不安になるかもしれません。
基礎疾患や免疫に影響する治療が関係する例はありますが、詳しく調べても明確な背景が見つからない犬もいます。WAVDのガイドラインも、年齢に関係なく素因を確認することを勧める一方、未知の要因が関わる可能性を示しています。
確認する目的は、重大な病気があると決めることではありません。その子に必要な検査を選び、治療を安全に進めるためです。
受診の目安|痛み・膿・におい・急な悪化を見逃さない

次の区分は診断基準ではなく、飼い主さんが迷いにくいよう「あしあと」が安全側に整理した連絡の目安です。愛犬の持病や、かかりつけ医から受けている指示がある場合は、そちらを優先してください。
| 目安 | 見られる変化 | 行動 |
|---|---|---|
| すぐに電話で受診先を確認 | ぐったりして反応が弱い、立てない、呼吸が苦しそう、意識の様子がおかしい、広い範囲から出血している | かかりつけまたは夜間救急へ連絡する |
| 当日中に連絡 | 膿、強いにおい、湿った傷、強い痛み、足の腫れ、急速に広がる皮膚炎、食欲低下、元気消失、発熱を疑う様子 | 症状を伝え、受診時間を相談する |
| 数日以内を目安に予約 | 新しい脱毛が増える、範囲が広がる、赤み・フケ・かさぶたが続く、かゆみがなくても毛が薄くなる、皮膚炎を繰り返す | 写真と薬の一覧を用意して受診する |
体温測定に慣れていない犬へ、無理に体温計を使う必要はありません。体が熱く感じる、震える、呼吸が速い、動きたがらないなど、気づいた様子をそのまま電話で伝えてください。
受診前にまとめる「三枚のメモ」

病院で「何から話せばよいか分からない」とならないよう、情報を三つに分けます。全部を埋められなくても大丈夫です。分かる範囲を、スマートフォンのメモや紙に残してください。
一枚目は皮膚の変化
- 最初に気づいた日
- 最初の部位と、今ある部位
- 広がった順番と速さ
- 赤み、フケ、かさぶた、湿り、膿、におい
- かく、なめる、こする回数
- 触れたときに痛がるか
- 最近シャンプー、トリミング、毛刈りをした日
- 自宅で塗ったもの、洗ったもの
写真は日付ごとに同じアルバムへまとめると、広がり方を見せやすくなります。左右を間違えないよう、「右耳」「左前脚」などをメモしてください。
二枚目は全身の変化
- 食欲と食べた量
- 現在の体重と、最近の増減
- 水を飲む量、尿の回数
- 元気、睡眠、散歩への反応
- 嘔吐、下痢、咳、息の荒さ
- しこりや、ほかの場所の痛み
- 最近受けた検査と結果
体重は一回の数字だけでなく、以前の記録も役立ちます。動物病院の診察券、健康診断結果、フード記録などに過去の体重があれば持参しましょう。
三枚目は持病・治療・薬
- 診断されている持病
- 通院している病院と診療科
- 薬の商品名または処方名
- 一回量、一日の回数、最後に使った時刻
- 使用を始めた日、増減・変更した日
- 飲み薬、注射、塗り薬、目薬、点耳薬、薬用シャンプー
- ノミ・マダニ予防薬、フィラリア予防薬
- サプリメント、市販薬
- 過去に薬で体調を崩した経験
薬名が分からなければ、袋、ラベル、容器を撮影して見せます。複数の動物病院へ通っている場合は、すべての処方を一つにまとめてください。
受付や電話で使える受診メモ
○歳の犬です。○月○日に[部位]の脱毛に気づき、○日間で[増え方・範囲]へ広がりました。[赤み・フケ・膿・におい・痛み・かゆみ]があります。食欲は[普段どおり/低下]、元気は[普段どおり/低下]です。持病は[病名]で、現在[薬名または用途]を使っています。ニキビダニ症を含む皮膚病が心配です。受診時期を教えてください。
動物病院で行う皮膚検査と基礎疾患の確認

深い皮膚掻爬検査や毛検査で確認する
ニキビダニは毛包の奥にいるため、動物病院では、疑わしい場所から皮膚の材料を採り、顕微鏡で確認します。
代表的な方法は、深い皮膚掻爬検査です。専用器具で材料を採り、ダニの数や発育段階を確認します。足先や目の周りなど採材しにくい場所では、毛検査などが選ばれることもあります。
参考:WAVD臨床コンセンサスガイドライン、ESCCAP寄生虫学的診断ガイドライン Ed1v4
皮膚掻爬は家庭で行う検査ではありません。刃物や針で皮膚をこする、毛を大量に抜くなどの行為はしないでください。
一度の検査だけで終わらない場合もある
部位や皮膚の状態によっては、毛検査、テープ検査、細胞診、皮膚生検などを組み合わせます。膿や強いにおいがあるときは、二次感染を調べる検査も検討されます。
検査結果は「ダニがいた・いなかった」だけで単純に決めるものではありません。病変の分布、ダニの数や発育段階、ほかの皮膚検査、治療経過を合わせて獣医師が判断します。
2022年の回顧研究でも、皮膚生検で確認された検体のうち、対応する皮膚掻爬では検出されなかった例が報告されています。陰性でも疑いが残るときに、別の採材部位や検査が必要かは獣医師が判断します。
参考:Kellyらの回顧研究(2022年)
必要な全身検査は犬ごとに異なる
シニア犬では、診察とこれまでの病歴をもとに、血液検査、尿検査、ホルモン関連検査、画像検査などが検討されます。ただし、すべての犬にすべての検査を一度に行うわけではありません。
どの検査から始めるかは、脱毛の範囲、全身状態、持病、過去の検査結果、薬、通院時の負担、費用などを含めて相談します。
愛犬が長時間の待機や保定をつらそうにする場合は、予約時に伝えてください。「今日は皮膚検査を優先し、追加検査は体調を見ながら分けられるか」と相談することもできます。
治療中は「毛が生えたか」だけで中止を決めない

治療は三つに分けて考える
ニキビダニ症の治療は、主に次の三つを組み合わせて考えます。
- 増えたニキビダニに対する治療
- 細菌による二次感染など、同時に起きている皮膚の問題への治療
- 関係する持病や免疫に影響する治療があれば、その評価と調整
使う薬や方法は、年齢、体重、全身状態、持病、併用薬、病変の範囲によって異なります。市販薬を追加する、ほかの犬の薬を使う、海外の用量をまねることはしないでください。
二次感染がある場合も、すべての犬へ同じ抗菌薬が必要になるわけではありません。感染の深さや全身状態、検査結果をもとに獣医師が治療を選びます。
再診と皮膚検査には理由がある
毛が生え始め、赤みが引くと、治ったように見えることがあります。しかし、見た目の改善と、顕微鏡で確認するダニの状態は同じとは限りません。
WAVDのガイドラインでは、広範囲のニキビダニ症について、臨床所見と顕微鏡検査を定期的に確認し、陰性の皮膚掻爬が続いた後も一定期間治療を続ける考え方が示されています。実際の再診間隔と終了時期は、担当獣医師の指示に従ってください。
シニア犬では、薬を続けられるかだけでなく、食欲、便、ふらつき、眠り方など、治療開始後の変化も記録します。気になる変化があれば、次回予約まで待たずに病院へ連絡してください。
家庭で避けたいこと
- 人用のニキビ薬、ステロイド軟膏、消毒薬を塗る
- 犬用であっても、診断前に余っている薬を使う
- 室内用の殺虫剤やダニ捕獲用品を犬へ直接使う
- 膿や痛みがある皮膚を強く洗う、こする、ブラッシングする
- かさぶたを無理にはがす
- 処方薬を自己判断で中止、減量、増量する
- 診断前に家中を強い薬剤で一斉消毒する
- 毛が生え始めたことだけで通院を終える
シャンプーや外用ケアが必要な場合は、製品、濃度、頻度、すすぎ方、乾かし方まで獣医師へ確認します。猫など同居動物がいる家庭では、使用する薬や殺虫成分が同居動物へ与える影響も必ず確認してください。
シニア犬の休息を守りながら通院・ケアを続ける

診察の負担を減らす準備
皮膚の検査や治療が必要でも、シニア犬の休息を崩しすぎない工夫はできます。
- 混雑しにくい時間を病院へ確認する
- 滑りにくいマットや普段使うタオルを持参する
- 抱き上げ方や痛がる場所を受付時に伝える
- 待合室が苦手なら、外や車内で待てるか確認する
- 写真、薬の一覧、質問を先に一つの画面へまとめる
- 一度に必要な検査と、別日に分けられる検査を相談する
皮膚を清潔にしようとして、寝具を一度にすべて交換する必要はありません。診断後に獣医師から指示があれば、洗えるカバーやタオルから順に管理します。いつもの寝床を急になくすのではなく、休める場所を残してください。
サロンで脱毛に気づいたとき
長毛の犬では、シャンプーやカットの途中で初めて脱毛が見えることがあります。それだけで「トリミングが原因」「ニキビダニ」とは決められません。
あしあとでは、皮膚の異変を見つけても病名を断定せず、場所、範囲、赤み、湿り、におい、痛がる様子を飼い主さんへ伝えることを大切にしています。
膿、出血、強いにおい、腫れ、痛み、元気の低下がある場合は、見た目を整えることより受診を優先します。施術を続けるか迷う状態なら中断し、飼い主さんから動物病院へ相談してもらいます。
受診後にトリミングを再開するときは、洗浄方法、避ける部位、乾燥方法、疲れやすさについて、獣医師の指示をサロンへ共有してください。
シニア犬の皮膚を日常的に見る方法は、老犬の皮膚ただれ・赤み・脱毛を観察するポイントでも整理しています。
シニア犬のニキビダニ症についてよくある質問

Q1.円形の脱毛があればニキビダニ症ですか?
それだけでは診断できません。細菌性毛包炎、皮膚糸状菌症、摩擦、内分泌疾患などでも似た脱毛が起こります。写真と経過を持参し、皮膚検査で確認してもらいましょう。
Q2.かゆがっていなければ様子を見てもよいですか?
二次感染のない段階では、かゆみが弱いことがあります。脱毛が増える、つながる、足先にもある、赤みやフケが続く場合は、かゆみがなくても動物病院へ相談してください。
Q3.シニア犬のニキビダニ症は、必ず重い基礎疾患が原因ですか?
必ずではありません。成犬・シニア犬では持病や治療の影響を確認しますが、明確な背景が見つからないこともあります。受診時は「三枚のメモ」を使い、皮膚・体調・薬を伝えてください。
Q4.家のダニ取りシートや掃除で治せますか?
治療の代わりにはなりません。ニキビダニは犬の毛包や皮脂腺に関係するため、室内ダニ用の捕獲用品を犬へ直接使わず、動物病院で確認してください。
Q5.毛が生えてきたら薬をやめてもよいですか?
自己判断では中止しないでください。治療終了は、再診時の皮膚検査や全身状態をもとに獣医師が判断します。副作用が心配なときも、急に止めず、処方した動物病院へ連絡してください。
まとめ|脱毛の範囲だけでなく、体調と薬まで一緒に伝える

シニア犬の脱毛は、見た目だけでニキビダニ症とも、年齢による変化とも決められません。飼い主さんが病名を当てる必要はありません。
皮膚の広がり、食欲や体重などの体調、持病と薬。この三つを記録すれば、診察へ渡せる大切な情報になります。膿、強いにおい、痛み、急な悪化、元気や食欲の低下があるときは、当日中に動物病院へ連絡してください。
「一生一緒」に過ごすために、不安を抱えたまま様子を見るのではなく、今分かることから一つずつ相談していきましょう。
犬に関係するダニ全体の対応を確認したい方は、犬のダニ対策は種類で違う|症状別の受診と室内ケアをご覧ください。
11.参考資料一覧
医学資料確認日:2026年8月12日
- 公益社団法人日本獣医学会「犬・猫の疾患―皮膚 疾患名用語集」公開日・更新日の記載なし、2026年8月12日確認
https://www.ttjsvs.org/?c1=1&c2=12&num=200&order=num&p=0&v=category - Mueller RS, Rosenkrantz W, Bensignor E, Karaś-Tęcza J, Paterson T, Shipstone MA.(2020)Diagnosis and treatment of demodicosis in dogs and cats: Clinical consensus guidelines of the World Association for Veterinary Dermatology. Veterinary Dermatology, 31, 4-e2. Accepted 12 May 2019, published 2020, 2026年8月12日確認
https://wavd.org/wp-content/uploads/diagnosis-and-treatment-of-demodicosis-in-dogs-and-cats-mueller-et-al-2020-veterinary-dermatology.pdf
DOI: https://doi.org/10.1111/vde.12806 - MSD Veterinary Manual「Mange in Dogs and Cats」Full Review: March 2023、Last updated: May 2025、2026年8月12日確認
https://www.msdvetmanual.com/integumentary-system/mange/mange-in-dogs-and-cats - Companion Animal Parasite Council「Demodex spp.」Last updated: March 13, 2019、2026年8月12日確認
https://capcvet.org/guidelines/demodex/ - ESCCAP Parasitological Diagnosis in Cats, Dogs and Equines, Guideline 04, First Edition, Ed1v4(2026年7月28日公開)、2026年8月12日確認
https://www.esccap.org/documents/ - Pinsenschaum L, Chan DHL, Vogelnest L, Weber K, Mueller RS.(2019)Is there a correlation between canine adult-onset demodicosis and other diseases? Veterinary Record, 185(23), 729. DOI: 10.1136/vr.105388、2026年8月12日確認
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31409752/ - Kelly PA, McKay JS, Maguire D, Jones M, et al.(2022)A retrospective study of cases of canine demodicosis submitted to a commercial diagnostic laboratory servicing the United Kingdom and Ireland (2017-2018): Part 1 - Signalment, lesion distribution, treatments, and concurrent diseases. Research in Veterinary Science, 153, 99–104. Published October 2022、2026年8月12日確認
https://doi.org/10.1016/j.rvsc.2022.10.022


